竹中先生、これからの「世界経済」について本音を話していいですか?/竹中平蔵、佐藤優

 

 

 外為ドットコム主催のセミナーにおける竹中氏と佐藤氏の対談と、その補足で構成された本です。

 竹中先生が世界経済を取り巻く現況を紹介し、その背景について元外交官である佐藤氏が解説するといった基調で進みます。

 「イスラム国」問題や中国経済の先行きに加え、日本の安保法制の影響するところなんかを語られます。

 割とメディアでは、中国経済からの影響を大きく取り上げる傾向が強いですが、佐藤氏は「イスラム国」を取り巻く中東情勢が、今後世界の経済に及ぼす影響の大きさを指摘されます。

 あと、この本を読んで初めて知ったのですが、「イスラム国」が中国国境付近にまで影響力が及んできているということで、それをきっかけに民族紛争が激化し、中国からの難民が日本に大挙して押し寄せる可能性について言及されていて、日本の難民への対処について、本気で考えなければならない時期に来ているということを強調されています。

 佐藤氏が、難民への対処を町内会のごみ処理に例えて話をされているのが印象的で、国連なんかで重要な役割を担いたいのであれば、ボチボチ何でもカネで解決しようとするんじゃなくて、率先して「汚れ仕事」を担う覚悟が必要なんじゃないか、ということです。