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転がる香港に苔は生えない/星野博美

 

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)

 

 

 先日、『謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)』を紹介した星野さんの本なんですが、中国変換前後の香港に住んで、そこに住む人たちとの交流を描きます。

 『謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)』でも、現地の人々との相当ディープな交流が描かれていましたが、こちらでは元々筆者が留学していた頃の友人なども含めて、濃密な交流が描かれます。

 変換前後ということで、中国による統治への漠然とした不安に揺れる人々の姿が描かれますが、元々香港の人たちって言うのは、どこかから流れて来た人たちがほとんどだということで、あまり香港への執着を感じさせる人はいないように伺えます。

 だからといって、香港への愛情が無いわけではないのですが、あくまでも一時的にそこにいたに過ぎない、という感じです。

 大陸からの移民への言われのない差別や、持っているカネの多寡がルールに優先するなど理不尽極まりない中でも、たくましく生きていく人の活気が、何とも言えないもの悲しさや虚無感が支配する空気の中でも、隠れることなく溢れる、矛盾しているように聞こえるけど、そういう要素がゴッタ煮になった香港の魅力を余すことなく伝える本です。