昭和史 戦後編/半藤一利

 

昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

 

 

 昨日、紹介した『昭和史 戦後篇 1945-1989 (平凡社ライブラリー)』の戦後編です。

 こちらも600ページ以上の大著ということもあり、また戦前編ほどの緊張感が無いということもあって、戦前編程にはスムーズに読み進めなかった部分はあります。

 ポツダム宣言を受諾し敗戦が確定してから、昭和天皇が亡くなられるまでを語られますが、GHQの占領統治までて半分以上の分量を取られています。

 特に印象的だったのが、GHQの「右旋回」で、当初、相当厳しい態度で日本の占領統治に臨むつもりであったようですが、昭和天皇の「覚悟」や日本国民のGHQへの好意などもあり、次第に軟化していく様相をみせるわけですが、何よりも、戦後まもなく露わとなった東西冷戦の激化に伴う情勢の変化が、日本への態度を大きく変えて行きます。

 西側陣営がドイツ分断の対策にかまけている間に、東側陣営はアジアにおける攻勢を強め、中国の共産化や北朝鮮の建国などを行います。

 受けに回ったアメリカとしては、日本をアジアにおける西側陣営の「くさび」として利用せざるを得なくなり、そのことで占領を早期に切り上げることとなり、また大きな役割を担わせることで、戦後の日本の奇跡的な発展につながった、ということのようです。

 軍部を始めとする戦前日本の狂奔は不幸極まりない状況でしたが、戦後の情勢に恵まれなければ、日本の現状はもっとみじめだったかもしれない、ということを認識しておかなくてはいけない気がしました。