バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する/大久保伸隆

 

 

 チェーンの居酒屋で、どの店に行っても待ちが見られる「塚田農場」を運営しているエー・ピー・カンパニーの副社長の著書です。

 長い不況で、起業の生き残りも厳しい状況が続いており、特に飲食店の入れ替わりの激しさは驚くばかりです。

 そんな中で、生き残っていくために利益をあげて行かなくてはいけない訳ですが、多くの経営者はどうしてもカンタンに手を付けることが出来るコスト削減に目を向けがちです。

 そんな中で、人件費に手を付けてブラックバイトみたいなことになり、その結果離職率が上がってしまい、結局採用コストがかさんで…みたいなことになってしまいかねません。

 そういうジリ貧のリスクを背負うのではなくて、手を付けるのは難しいかもしれませんが、リピート客を増やして売上を上げようというのがこの本の趣旨で、そのためにはサービスレベルを上げていかなくてはいけない、そのためには、バイトの定着率を上げていかなくてはいけない、そのためには、バイトが喜んで働けるような環境を作らなければならない…という取り組みをしているのが、「塚田農場」なんです。

 おカネの面もさることながら、如何にお客さんに喜んでもらえるか?ということをバイトの自主性を尊重してやってもらうことで、バイト自身のやりがいにもつながるし、お客さんへのサービス向上にもつながるということで、一石二鳥の効果をもたらしているようです。

 こういう好循環の考え方が商売のスタンダードになっていくといいな、と思わされる本です。