プロ野球をダメにする致命的構造/江本孟紀

 

 

 江本氏お得意の、プロ野球の裏側の暴露モノかと思いきや、割とマトモな内容でした。

 江本氏自身が、アメリカの独立リーグに参戦した、日本人で構成されるサムライ・ベアーズの運営に関って、アメリカの野球界の運営に触発されたカタチで、日本のプロ野球の問題点を指摘します。

 何よりも、日本の野球界では「プロ」の裾野が、アメリカと比べてあまりにもチープ過ぎる、ということで、今でこそNLBの12球団以外にも独立リーグがいくつか運営されていますが、この本が書かれた当時は四国リーグのみの4球団で、都合16球団しかないのに対し、アメリカでは数百球団あるということです。

 しかも、日本では1軍のみがおカネを稼いで、それ以外は1軍の稼ぎにオンブにダッコだということで、とても球団経営単体で採算を成り立たせることが出来るものではないということです。

 ということで、江本氏はNLB球団の2軍以下と社会人野球の企業チームを独立リーとして再編し、独立採算制にしてチームを増やし、学校を卒業した後も野球を続けたいけど、NLBの球団には入れない、と言う選手の受け皿を作るというものです。

 この本は10年位前に書かれた本で、その頃から比べると多少マシになっている部分もあるのですが、NLBの採算に関する体質はそれほど変わっていないですし、独立リーグからNLBのキャリアパスというのは、かなりキビシイ状況ですし、日本のプロ野球は、ゆでガエルのまま「静かな死」を迎えるのでしょうか…