果てしなく美しい日本/ドナルド・キーン

 

果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)

果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)

 

 

 司馬遼太郎さんとの対談本なんかでも知られる日本文学の研究家のドナルド・キーンさんの著書です。

 この本は元々、欧米に日本を紹介するという趣旨で1970年初頭に書かれた本なのですが、それを日本語に翻訳して出版したモノです。

 欧米で出版された時は、"Living in Japan"『生きていく日本』というタイトルだったということなのですが、日本語訳を出版する際に、キーンさんの強い意向でこのタイトルになったということです。

 どっちかというと、英語版の時のタイトルの方が本の内容に合っている気はするのですが、確かに2016年の現在からみていると、その頃の描写が「果てしなく美し」く見えるのも確かだったりします。

 1970年代初頭で、ワタクシ自身がまだ幼児だった頃なんで、日本人であるワタクシ自身も「へぇ~」と感心するようなこともありますが、すごく懐かしい描写がそこかしこに出てきます。

 当時はまだ、欧米において偏見の強かった日本に対する見方を少しでも好転させようという意図もあって「いいこと」に偏っている傾向は否めませんが、確かにこういうことがありましたし、今に目で見ると、こよなく美しいものだったなあ、とおもえることが多くあります。

 「日本人」論ですが、かつて存在した「美しい何か」を愛でる、そんな気がしました。