無茶振りの技術/高城幸司

 

無茶振りの技術 (日経プレミアシリーズ)

無茶振りの技術 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 タイトルには「無茶振り」とありますが、必ずしも「無茶」ということを意図しているわけではなく、「如何に上手く仕事を周囲に振れるようになるか?」ということを、非常に丁寧に説明されている本です。

 「無茶振り」以前に、仕事を「振る」ということについて、あまりいいイメージを持っていない人が多いのではないか、ということを指摘されているのですが、それはただ単に自分の作業を「丸投げ」して自分だけラクをしようとしていると周りに思われるんじゃないか、という危惧をいただいているからではないか、ということなんですが、実はそうではなくて、より周囲に大きく貢献するための手段の一つとして位置付けるべきだ、とおっしゃいます。

 例えば、皆さんの周りにも、そんなツマラナイ雑用、サッサと部下に振って、もっとやらないといけないことがあるでしょ!っていう人がいるんじゃないかと思うのですが、そういう仕事を周囲に任せるということが、この本で言う「仕事を振る」っていう
ことのようです。

 また、「振る」方からすると優先順位の下がる仕事であっても、「振られる」方からすると、チャンレンジングな仕事である場合もあって、そういう場合は「振られた」方としても、成長の機会を与えてもらうという、ポジティブな側面があって、そういう部
分をもっと積極的に評価すべきだということです。

 ただ、そうではあっても「振り方」によっては、相手の気分を害するリスクもあるわけで、「振られる」方にしても、前向きに取り組めるような頼み方についても、かなりの紙面を割いて、詳しく説明されています。

 「仕事を振れない」人は、ある程度以上になるとスキルの伸びが見られなくなるということも指摘されていて、自分のパフォーマンスを上げるためにも、積極的に「仕事を振る」っていることに取り組んでいくべきなんだなあ、という、ある意味目からウロコな本でした。