働く君に伝えたい「お金」の教養/出口治明

 

働く君に伝えたい「お金」の教養

働く君に伝えたい「お金」の教養

 

 

 ライフネット生命の出口さんが、社会人になったばかりの若者に向けて、「お金」に関する不安を払しょくするための“知恵”を授けます。

 そういう「お金」に関する“知恵”を扱った本って、その著者の持っている知識・ノウハウなんかを「伝授」することに終始して、確かに役に立つし、それに沿った行動をすることで、ある程度の成果はでるんでしょうけど、なんかどこか完全にナットクできない、隔靴掻痒感が残る本が多い、というのがワタクシの個人的な印象です。
 
 それに比べて出口さんは、おカネっていうのはあくまでもシアワセになるためのツールに過ぎないということで、如何に“活きた”お金の使い方をするか、またそのための原資を如何に確保するか、ということについて解説されます。

 また、年金の不公平感とか、消費税の意義とか、なんとなくイメージで否定されていることについての効用を丁寧に説明されていて、目の前の損得勘定にとらわれず、全体的な影響を考えることの重要性も指摘されています。

 非常にプレーンな姿勢でありながらも、パーソナライズされた考え方もあって、個別の問題にも対応できる素晴らしい本だと思います。