B面昭和史/半藤一利

 

B面昭和史 1926-1945

B面昭和史 1926-1945

 

 

 この本の冒頭で「B面」って言っても何のことかよくわからない人が増えてきている、とおっしゃっているのを見て、すぐに意味が分かったワタクシは愕然としていたりするのですが…

 この本は名著『昭和史』の「B面」ということで、政治や社会の状況を描いた『昭和史』が「A面」なら、こちらは庶民の生活や風俗といったことの状況を伝えようということで「B面」ということのようなのですが、どうも半藤さん自身の意気込みに多少問題があったようで…

 出版社から持ち込まれた企画なのかもしれませんが、ふとを抜くと、話が「A面」の方に行ってしまって、「ああ、こりゃイカン!」ということで「B面」に戻って…ということを繰り返します。

 その割に600頁近くにも及ぶ大著ということで、読み手の緊感も希薄になり、なかなか読み通すのは大変でした。

 でも、どうしても「正史」と「風俗」みたいなものが横並びで語られることが少ないので、こういった歴史上の事件の時に、世間はこういう状況だったんだ…ということが対比的に語られるカタチになったのは、ケガの功名だったかもしれません。

 あまり肩肘張らずに、ちょっとずつ思い出した時に、気の向いた分だけ読むってのがいいのかもしれないですね。