こだわりバカ/川上徹也

 

こだわりバカ (角川新書)

こだわりバカ (角川新書)

 

 

 ストーリーブランディングの川上さんがメジャー進出を果たした「バカ」3部作の完結編です。

 『物を売るバカ売れない時代の新しい商品の売り方 (ワンテーマ21)』『1行バカ売れ (角川新書)』に続いて出版されたこの本なんですが、あとがきで、この本を出したいがために、前の2冊を出版したようなものだ、といった趣旨のことをおっしゃっておられて、この本への意気込みをヒシヒシと感じます。

 内容としては、主に企業イメージを訴求する際のコピーライティングについて、ということです。

 冒頭で触れられているのが、飲食店などで「こだわり」に関するコピーをよく見ますが、そういう「こだわり」を謳う店の大半は、今一つ、じゃあ何にこだわってるの?というのがよくわからない、内容の希薄なコピーになっていることが多いと指摘されています。

 また、多くの企業が、企業全体のイメージなんかを訴求しようとするコピーにおいて、何をやっている企業なのかよくわからないコピーになっていることが多いともおっしゃいます。

 川上さんは、そういうコピーを「空気コピー」と酷評されます。

 なぜそうなるかと言うと、顧客と言う「海」に達するまでのコピーの「川の流れ」のうちの、商品そのものを訴求する「川下コピー」や事業展開を訴求する「川中コピー」と比べて、企業理念などの上位概念を訴求する「川上コピー」は売上などの業績への効果との関連が見えにくいこともあって、蔑ろにされがちだということなんですが、長い目で見ると、手痛いシッペ返しを食らうことになる、とおっしゃっています。

 だからこそ、自らの企業理念などについて、誰にでもその内容がイメージできるような簡潔な言葉で訴求することが、すべてのPR活動の起点になるということで、ココロして取り組むべきだということを強調されています。