スカウト/安倍昌彦

 

スカウト

スカウト

 

 

 未だにスカウト志望だというスポーツジャーナリストの方が、数々の名スカウトにインタビューした記事を集めた本です。

 元広島の苑田さんや元ヤクルトの岡林さんなど、そこまで野球に詳しいわけではないワタクシでもその活躍を覚えているような元スター選手だったスカウトもいれば、何とか野球に関わった仕事がしたいということで球団になんとかもぐり込みスカウトになった人もありということで、いろんな経歴の方がいらっしゃるようです。

 岡林さんのコメントで面白かったのが、スカウトになった当初、自分の選手を見る際のモノサシが国内最高峰のプロ野球選手だったので、目当てとなる選手を見に行っても魅力がまるで分らなくて困ったということで、自分のモノサシのレベルを下げるのに時間がかかったということです。

 これだけ情報のやり取りの仕方が多様化し、かつ容易になった現在でもスカウトの方々は全国くまなく選手をナマで見るために飛び回っておられるのが少し不思議な気もしたのですが、モチロン、ナマでみる方が情報量が多いのは間違いないと思うのですが、見られていない時でもちゃんと取り組める選手なのか、また土壇場になったときのその選手の野球への取組の姿勢だとか、そういうココロの部分はナマじゃないと見れないようで、技量そのものよりもそちらの方がプロとしては重要である場合も少なからずあるようです。

 それでもなかなか才能を開花させる選手の数は多くない訳ですが、それだけに手掛けた選手が成功した時の喜びは如何ばかりかと思うと、著者の安倍さんが、今どこかの球団がスカウトとして雇ってくれるといったら、今の仕事をすべて放り出して転身するというキモチもわからないではないですね。