ダブルマリッジ/橘玲

 

ダブルマリッジ The Double Marriage

ダブルマリッジ The Double Marriage

 

 

 久々に橘さんの小説なんですが、法のスキマから戸籍上重婚になってしまうという実際に起こりうるレアな事例から着想を得たモノだということです。

 若き日にフィリピンに赴任して現地の女性と恋に落ち、結婚に至った男性がそれを問題視した会社がその人を呼び戻し、日本で別の女性と結婚してフツーの生活を送っていたところ、ふとしたキッカケで戸籍を取ったところ、かつてのフィリピンの女性との結婚が日本の戸籍に掲載されていたことを発見したことから始まるストーリーを描かれます。

 ひと頃、日本人男性がフィリピンに「買春ツアー」に行っていた時期もあって、取り残された日本人男性の子供が数十万人もいた時期があって大きな社会問題となったということで、そういうことへの問題提起もあって提起されたモノだと思うのですが、戦時中の韓国人女性を犠牲にした慰安婦問題にもあるように、経済力や戦力などチカラある国の男性が、一時の性欲を満たすために弱者の国の女性を始めとする人たちを不幸な境遇に追いやったという事態が少なからず発生したということは否定しがたいことだと思います。

 ワタクシ自身も、ひと頃何度か海外出張をした際に、周囲にハメを外して性的なサービスを利用する人が周囲に少なからずいました。

 まあ、慰安婦と出張者の遊びを同列に語ることは難しいとは思いますし、ことさらにキレイごとを言うつもりは、ワタクシ自身も長期の海外駐在と言う立場に置かれたら、絶対に拒否したとは言い切れない自分がいる以上、毛頭ないワケですが、早晩、こういう人の尊厳を無視してまで、性欲を満たさないといけないのか?ということについては、よくよく考える必要があるんじゃないか?そういうところにグローバルな場で仕事をする資格の一つがあるんじゃないか…などとこの本を読んで、色々と考えさせられました。