観光立国の正体/藻谷浩介、山田桂一郎

 

観光立国の正体 (新潮新書)

観光立国の正体 (新潮新書)

 

 

 『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)』の藻谷さんとスイスと日本で観光ビジネスの支援を手掛ける山田さんとのコラボレーションで、日本の観光ビジネスを語られます。

 「観光立国」と言えば、『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』で広く知られるようになりましたが、あちらが現象面を捉えられていたモノだとすれば、この本はその背景にある“原因”みたいなものに迫ります。

 日本の観光ビジネスにおいて、ほとんど顧客ニーズに沿ったサービスの提供ができていないということですが、その原因となっているのが、マーケティングの視点が皆無であり、自分たちのやっていることのPRに終始していることだと指摘されています。

 というのも地方の観光地でハバを利かせている、既得権益を持つ層が現状維持を望んでいることもあり、ミョーな政治力を振りかざして、新たな取組をする層の芽を摘んでしまうからということです。

 でも、そういうことをしていると、今伸びつつあるインバウンドのニーズにも応えることができず、結局ジリ貧になってしまう可能性が高いということを指摘されていますが、それよりも自分の利益の方が大切な人の方が多いみたいです。

 また、『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』でも触れられていたように、海外の超富裕層を取り込める“器”がないことも取り上げられていますが、結局それも現状維持を望む層の影響見たいですよね…

 「おもてなし」って言って、自分たちの独りよがりなモノを押し付けているだけじゃ、せっかくの観光資源も持ち腐れになってしまいそうです…