制服少女たちの選択 After 10 Years/宮台真司

 

制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

 

 

 先日、古市さんが12人の社会学者と対談した『古市くん、社会学を学び直しなさい!! 』を読んで、社会学って面白そうだなあと思ったのと、「知の怪人」佐藤優さんが、フェミニスト北原みのりさんと対談した『性と国家 』で宮台さんのこの本のことをディスってたのを思い出して手に取ってみました。

 この本が出版された1990年年代前半に、女子高校生が自分が着用した制服やブルマ、下着などを売る「ブルセラ」や、お小遣い稼ぎのために売春する「援助交際」が社会問題となりましたが、そのことを実際に「ブルセラ」や「援助交際」を経験した女子高校生たちへのインタビューをベースの構成した本です。

 この当時、宮台さんはフィールドワーク多く活用して、「行動する社会学者」として評価が高かったということですが、確かにこういう経験をした女子高校生たちにアプローチされる行動力は評価されるべきでしょうし、そういう手段で社会問題にアプローチするという社会学のダイナミズムを感じさせるモノなんですが、そういう現象面としての「援助交際」を学問として「抽象化」される時点で、現象自体が自分たちの生活に根差している身近に起こりうることであるが故に、不必要に小難しいコトバでこねくり回してケムに巻いているんじゃないか…的な不信感が芽生えます。

 で、佐藤優さんがなぜこの本に不快感を抱いたのかということを考えると、『性と国家』でおっしゃられていた、日本は男性があからさまに性的欲望を満たすことにアマいという環境を踏まえずに、女子高校生たちに取って、こういう状況下に置かれれば、こうするのって不思議じゃないよね、みたいな感じで受け止められても仕方がない表現になってて、「ブルセラ」や「援助交際」を助長していると思われても仕方がないところだったんでしょうか…