沖縄は未来をどう生きるか/大田昌秀×佐藤優

 

沖縄は未来をどう生きるか

沖縄は未来をどう生きるか

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんは著書の中で沖縄の新聞を購読していることを明かすなど、沖縄に並々ならぬ関心を寄せていることを明らかにしていますが、その佐藤さんが大田元沖縄県知事と対談した本です。

 実は佐藤さんのお母さんと大田さんは旧知の仲だということで、佐藤さんご自身も古くから大田さんと知己があったということです。

 そのお二方が沖縄のこれまでとこれからを語られるワケですが、一般的な「内地人(沖縄の人が本土の人のことを指す言葉)」には驚愕の事実が満載です。

 戦後の情勢によっては沖縄が独立国となった可能性がかなり高かったということや、今なお外務省が沖縄に事務所を置いていて暗号を用いた通信をしていることや、沖縄戦の直前に県知事や市長たちが逃げ出していたこととか…

 結局押しなべて言えば「内地人」少なくとも日本の政治家・官僚は、明治政府が沖縄を日本に編入してから、第二次世界大戦を経て現在に至るまで、日本だと思っていないフシがあるということを、お二人のお話を聞いてヒシヒシと感じます。

 だから沖縄戦での犠牲にしろ、今に至るまでの米軍基地の負担にしろ、非人道的なことを押し付けて平然としていられるんだな、と腑に落ちた気がしました。

 スコットランド独立の住民投票カタルーニャでの独立運動などを契機に沖縄でも独立の動きが取り沙汰されるようになっていますが、多くの「内地人」はそういうことを絵空事に近いモノと思っているはずですが、そうではないことが、この本を読むとよくわかります。