防衛省と外務省/福山隆

 

 

 自衛隊で軍事面のインテリジェンス活動に従事されていた方が日本のインテリジェンスを語ります。

 「知の怪人」佐藤優さんが外交面のインテリジェンスを紹介されるようになって「インテリジェンス」というコトバも一般的になっているように思えます。

 よく言われるように日本はインテリジェンス活動が諸外国と比べて貧困だということをこの本でも指摘されていますが、それは戦後アメリカの傘の下でのインテリジェンス活動ということで、依存体質が出来上がってしまったことと、元々日本人がインテリジェンス活動と相容れない性善説の考えを持つ人が多いことも原因の一つだとして挙げられています。

 ただ戦国時代には忍者などにより盛んに諜報活動が行われてきたように、必ずしも民族的にインテリジェンス活動への適性がないわけではなく、相対的にアメリカの影響力が下がり、中国が台頭している現状では、状況に応じた「健全な危機感」を持つことが重要で、そのことによりインテリジェンス活動への国民の理解が共感を得て、増強することが喫緊の課題だとおっしゃいます。

 それにしてもこの方、難しい内容もあるインテリジェンス活動について端的にわかりやすく説明されていて、例示も非常に的を得ていて、インテリジェンス活動をされる方って、文章力も秀でているモノなのかな、と驚きました。