誰も知らない男/ブルース・バートン

 

誰も知らない男 なぜイエスは世界一有名になったか

誰も知らない男 なぜイエスは世界一有名になったか

 

 

 日曜の礼拝が大嫌いだった著者が、キリストの人間的な側面に触れて魅力を感じたことからかかれた本だということで、何とこの本1924年に初版が出版されたということで、日本では『イエスの広告術』というタイトルで1984年に翻訳本が出版されたということですが、改訳を機会に現代に近いこのタイトルになったということです。

 池上彰さんが世の中の動きの元となる考え方を知るためには宗教のことを理解しておいた方が良いと再三おっしゃられていて、推薦図書に挙げられていたので手に取った次第です。

 どうしても宗教の神話と言うと神格化・偶像化にチカラを入れてしまって、あんまりオモシロくないモノになってしまうことが多いですが、この本が紹介する「人間イエス・キリスト」は預言者でありながら、教義の理想と周囲の俗な欲望…特に彼らの弟子が、キリストが国家を治めて自分たちが重臣となる皮算用をしていたのはオドロキでした…との矛盾を飲み込んで布教を進めるところが人間臭くてリアリティを感じました。

 そういう矛盾を超えて如何に布教を進めるかというところに現代(書かれたのは1924年なんですが、それでも今なお…)のビジネスにも通じるということで当初の日本語訳のタイトルが「広告術」となったのかもしれませんが、広告って言ってしまうとウスッぺらに聞こえてしまうので、コッチの方がいいかな、という気がします。