損する結婚儲かる離婚/藤沢数希

 

損する結婚 儲かる離婚 (新潮新書)

損する結婚 儲かる離婚 (新潮新書)

 

 

 理論物理学者から外資系金融機関での勤務を経て作家になられたという異色の経歴の方が、結婚や離婚の損得勘定の観点から語られます。

 よく有名人が離婚をする際に慰謝料の金額なんかが取り沙汰されますが、あの“慰謝料”というコトバは厳密に言うと間違った使われ方であることが多いようです。

 例えば、浮気など離婚の原因を作っていながら“慰謝料”を受け取るということに違和感を持たれた方もいらっしゃると思いますが、離婚の際にやり取りされる金額のうち、本来的な意味での慰謝料の占める部分は実はごくわずかで、婚姻費用や財産分与が占める割合が大きく、婚姻中の収入は共同生活の中でもたらされたもので、その結果蓄積された財産への貢献度は半々だということで、離婚時にはその分を引き渡すことになっているので、稼ぎのよい著名人が支払う“慰謝料”は巨額なモノになるということのようです。

 最悪、ロクに働きもしないダンナに愛想を尽かして離婚する女性が、ダンナの方が有責であるにもかかわらず、奥さんが“慰謝料”を支払わなければならないというケースも少なからずあるようです。

 このあたりの矛盾は明治時代に制定された民法が未だに効力を持っているからということもあるようで、市民感覚に合った法制度とするためにも、早晩改正をすべきだと指摘されています。

 これから結婚をしようとする人、特に女性にとっては、離婚のことを想定するっていうのもナンですし、女性として不快に思える記述も少なからずありますが、知っておいた方がいいことが多く書かれていますので、一読の程を!