ビジネスZEN入門/松山大耕

 

ビジネスZEN入門 (講談社+α新書)

ビジネスZEN入門 (講談社+α新書)

 

 

 若くして妙心寺退蔵院という名刹で副住職をされている方が、最近欧米の名だたるビジネスパーソンの間で広がっている禅の現状と、基本的な考え方を紹介されます。

 最近の欧米における禅ブームはスティーブ・ジョブスが禅に傾倒していたことがキッカケだと言われますが、ずっと前に沢木耕太郎が『深夜特急』の中で禅のことを聞かれたというエピソードもありますし、ワタクシ自身も海外で禅について尋ねられたこともあるので、かなり前から西欧では禅に対する関心は強いようです。

 なぜ禅がここまで関心を集めるかということなんですが、キリスト教にせよイスラム教にせよ、受動的と言うか、悪行に対して“天罰”が下ったり、善行を積むことで“救済”されるとか、あくまでも“他力本願”であるのに対して、禅では悪行に対して自業自得であり、自ら心身を陶冶することで悟りに至るということで、すべて自己責任だということが魅力的に映るようです。

 また特に宗教的なことをしなくても、日々の生活を研ぎ澄ましていくことで悟りに至るという考え方も琴線に触れているようで、そういうストイックさこそが自らを頼むビジネスパーソンにはふさわしいように感じます。