はじめての宗教論 左巻/佐藤優

 

はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学 (NHK出版新書)

はじめての宗教論 左巻 ナショナリズムと神学 (NHK出版新書)

 

 

 「知の怪人」佐藤さんによる初歩の宗教論ということで手に取ってみたのですが、右巻、左巻どっちが先?って…右の方が先だったみたいです…

 「はじめての」とありますが、必ずしも平易な内容というワケではなく、正直かなり難解です…と言うか、哲学の主要な説などかなりの前提知識を必要とするのかなという気がします。

 宗教の基本的な概念を紹介したという右巻から読んだ方が分かりやすかったのかもしれませんが、副題に『ナショナリズムと神学』とあるのですが、そればかりに終始するワケではなく、宗教の“機能”みたいなことを紹介されます。

 宗教と言うと日本人は倫理や道徳と言ったことを思い浮かべがちですし、宗教がそういう側面を持っていることは間違いないと思うのですが、必ずしもすべての宗教が倫理的だったり道徳的だったりするワケではなさそうです。

 突き詰めて言えば、宗教と言うのは個人の内心の問題であり、信条を形成するためのサポートだったり、バックグラウンドになったりすることが根源的な機能のようで、そういうところにツケ込んで宗教を“悪用”しようとする為政者もいたりするワケで、その一つとしてナショナリズムと結びつけることがあるようです。

 あとは、この本の主題という訳ではないのですが、この本に書かれていることで一番印象的だったのが、長く資格試験のための勉強をしているとアタマが悪くなる、とおっしゃっていることです。

 要するに、決まりきった論理の枠組みの中で、如何にそれに合わせるかというトレーニングをしていると、思考力が低下してしまうということらしく、ミョーにナットクすると同時に、コワいなぁ、と思わされました。