牙を研げ/佐藤優

 

 

 これまでも宗教論や論理的思考、地政学など教養を身に付けるのに役立つ本を書かれてきた「知の怪人」佐藤さんですが、直接的に仕事などの社会生活に役立つ教養を身に付けるために、ということでダイジェスト版的な位置づけで書かれたのがこの本のようです。

 この本は出版社での「早朝講座」をベースにしたもののようですが、

  ・旧日本陸軍の『作成要務令』を元にした組織での処世術
  ・主要な宗教のベースとなる考え方
  ・論理的思考の身に付け方
  ・国際ニュースの背景を理解するための地政学
  ・『貧乏物語』『資本論』から学ぶ資本主義の仕組
  ・ビジネスに役立てる日本近現代史
  ・数学

で構成されていて、最後にその後の実践のための読書術を紹介されています。

 実践的とは言いながら、ノウハウ本のように手取り足取りというワケには行かず、相当観念的ではありますが、そもそも教養を身に付けるって、自分で考えることができるようにならないといけないので、そういうモノですよね!?

 一番印象に残ったのが、数学に関するところで、日本のエリート層の数学力の低さは、諸外国と比べると笑ってしまう程の低さだということで、入試に数学を課さない経済学部なんてブラックジョークみたいです。

 やっぱりそういう易きに流れる風潮が、トップ人材の育成を蝕んでいる現実をどうにかしないといけないようです。