戦争の日本近代史/加藤陽子

 

戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)

戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)

 

 佐藤さんの『牙を研げ』で推薦図書として挙げられていた本で、明治維新以降太平洋戦争に至るまで日本が戦争をするに至った経緯を中心にした歴史を紹介されます。

 この本は東大での講義がベースになっているということで、結構細かい経緯が紹介されますが、半藤さんの『昭和史』を始めとした近代史に関する本を読んでいたので、何とかついていけました…

 ただ日清、日露、第一次大戦日中戦争から太平洋戦争に至るまで個々の戦争に至った経緯というのは理解できるのですが、もっと大きな流れから捉えた方が解りやすかったんじゃないかと思います。

 まあ言ってみれば「ヤラれないためにヤル」みたいな感じで、清やロシアに対応して曲りなりに勝ったからいいものの、段々と自己肥大していってしまって、アメリカの前に自爆することになってしまったんだろうなぁ、ということで、司馬遼太郎さんも指摘されるように、日露戦争の頃にあったリアリズムが摩耗して行って、太平洋戦争の頃には「見たいものだけを見る」姿勢がありありと伺えて悲しい限りです。