よく生きるために働くということ/岸見一郎

 

 

 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』で一気にアドラー心理学をメジャーにした岸見先生による“働く理由”です。

 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』では「賢人」の役割を担っていたと思われる岸見先生ですが、あれほどアドラー心理学の原理的なことをおっしゃるワケではなく(リクツっぽい「若者」も出てきませんしね…(笑))、ご自身の経験も踏まえて、アドラー心理学的に“働く”ことの意義を説かれます。
 
 この本の中で再三おっしゃられているのが「貢献感」ということで、仕事としてしていることの社会的な意義に関わらず、いかに自分が他人の役に立っているかということを感じることが働く意義だとおっしゃいます。

 モチロン家族を養うためにという意義はあるのですが、それだけではなく仕事そのものが誰かの役にたっているということを実感することが重要なようで、それを強く感じることができることが「よく生きる」ことにつながるようです。

 人間の悩みはすべて人間関係に起因するものだとアドラー心理学では言われますが、それゆえに他人に対する貢献が重要なのかもしれません。