元々「男と女」をテーマとした対談だったはずが、計画後に中村さんが3度死にかけたこともあって佐藤さんの方から「死」をテーマにしないかと持ち掛けて実現した本です。
中村さんは文字通り「臨死」体験をし、佐藤さんも「鈴木宗男」事件で社会的な死を体験したことを踏まえて、またお二方ともキリスト教に造詣が深いということで、そういった側面からも「死」を語られます。
いつもの佐藤さんが絡む対談とちょっと趣きが違うのは、あまり中村さんが佐藤さんに引きずられていないところでしょうか…そのせいか、重いテーマでありながらも、あまり暗くならずに会話が続きます。
そもそもキリスト教では「復活」を前提としていることから、現代の日本人ほど死を恐れないところがあるようで、オランダなんかで安楽死が広く語られるのにはそういう側面からの影響もあるようです。
そういう文化的な背景による「死」の捉え方の違いもあり、逆に「生」に対する執着の仕方の違いもあり、知的好奇心もそそる内容となっています。