それでも、日本人は「戦争」を選んだ/加藤陽子

 

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

 

 

 日本の近代史を専門とされている加藤先生が中高生を相手に日本が戦争をするにあたった経緯を講義された内容を元にした本です。

 以前紹介した『戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)』の中で、日本は日清戦争以降10年ごとに戦争をしてきたことを指摘されていましたが、日清、日露、第一次世界大戦日中戦争、太平洋戦争のそれぞれを一コマとして講義をされます。
 
 ただ中高生を相手にということなんですが、どうも超エリート中学・高校でかつ歴史クラブの部員ってことで、タダモノたちではないのですが、それでも加藤センセイの言ってることのレベルが高すぎて話がかみ合っていない様子がしばしば出現するということで、一般的なオトナが読んでも十分以上に難しい内容です。(笑)

 とはいうものの、どうしても歴史家の語る戦史というと、政治的な状況に終始してしまってイマイチ“背景”になっていないか、細かな政争の話になっていたりするのですが、加藤センセイは、財政的な側面や経済情勢なんかも踏まえて“背景”を語られているので、かなりナットク感が高まっています。

 日本の歴史って、どの時代であってももっとこういう切り口って必要なんだと思うんですけどねぇ…