NHKの歴史関連の番組で奇抜なスーツを着てニヤニヤ笑いながらコメントする、ぶっちゃけ気味の悪い歴史学者に記憶があるかもしれませんが、その磯田さんが司馬遼太郎の著作を通して日本史を語るという本です。
「司馬史観」というコトバで語られるように、司馬遼太郎さんの関連資料を丹念に調べあげた上での史実を重視した執筆スタイルだったことから、小説の世界に限らず、一般的な歴史の解釈にまで影響を及ぼすようになっているとのことです。
ただ歴史学者は「あくまで小説」ということで無視を決め込むのが一般的な姿勢のようですが、磯田さんがそこを曲げて司馬遼太郎の小説世界を通して日本史を語ることにトライされたという趣旨のようです。
司馬さんの代表的な著作の多い、戦国時代(『国盗り物語』)、幕末(『竜馬がゆく』)、明治時代(『坂の上の雲』)を通して歴史を語るということなんですが、結局司馬作品への評論っぽくなってしまっているのは、仕方がないのかな、というか企画ミスだったかもしれません。(司馬さんのおかげで、本は売れたでしょうけどね…)
ただ、歴史家らしい司馬作品の読み方もあって、それはそれで面白かったんですけど、ちょっと肩透かしですかね!?