東京郊外の生存競争が始まった!/三浦展

 

 

 先日『横丁の引力』を紹介しましたが、この本は東京近郊のいわゆるベッドタウンと言われる街の人口確保の争いを紹介されます。

 というのも、かつては“ドーナツ化現象”というコトバがあったように、地価の高騰に伴い郊外に自宅を求めて移住するといった傾向が顕著でしたが、バブルの終焉と共に地価も沈静化し、職住近接を求めるトレンドもあって、次第に都内への移住が増え
て行った結果、人口の減少が止まらない東京近郊の都市が散見されるということです。

 学歴や雇用形態、現在居住している地域など数多くのパラメータを元に人口動態を紹介されていて、ちょっと複雑すぎてついて行くのが大変ですが、なんとなく大きな流れというのがうかがえます。

 同じ東京近郊でも神奈川県や千葉県は比較的流出が少なく、埼玉県は都市のよって強弱がくっきりしているという傾向があるようです。

 利便性や消費環境などが人口の確保に役立つというのは理解できるのですが、最近ではそれを超えて、“脱ベッドタウン”ということで、雇用も地域で確保できるようにするとか、娯楽の要素を積極的に取り込むといった“攻め”のまちづくりに取り組む地
域も出てきており、明暗がより鮮明になりそうな情勢のようです。