死ぬほど読書/丹羽宇一郎

 

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

 

 

 伊藤忠商事の社長を務められ、ビジネス界きっての読書家としても知られる丹羽さんによる読書論です。

 冒頭で「1日の読書時間が『0分』の大学生が5割を超える」という報道に対して、敢えて読書をする必要があるのか?という大学生が呈した疑問が取り上げられます。

 意外なことに丹羽さんは、別に楽しみを感じないのなら、敢えて読書をする必要はないとおっしゃいます。

 ただ人間には、欲望のおもむくままに行動する「動物の血」というものと、それを抑制しようとする「知性の血」があって、より人間らしく生きるために「理性の血」によって「動物の血」をコントロールする必要があり、そのためにも「理性の血」を養うために読書が必要となるということです。

 だからと言って、功利的な動機で本を読んでも思ったように得ることは多くはないようで、あくまでも自分の興味が赴くままに本を読んだ方が、効用が多いんじゃないかということを指摘されています。

 ただ、そういう「読書論」というよりも、読書を手がかりとしたエッセイのような趣があって、ご自身が読書をしてよかったという素直な想いがつづられていて、だからこそ、これまであまり読書をされてこなかった人にも響くのではないかという気がしました。