憲法を百年いかす/半藤一利、保阪正康

 

憲法を百年いかす (単行本)

憲法を百年いかす (単行本)

 

 

 昭和史の大家であるお二人が憲法改正について語られます。

 タイトルに「百年いかす」とあるように、お二方は憲法改正、特に9条の改正には反対の立場を取られているのですが、よく言われる平和条項の押し付け論について、それはそうとも言い切れないのではないか、ということをおっしゃいます。

 実際の経緯が100%明らかになっているわけではないようなのですが、当時の幣原首相がマッカーサーに同様の内容の条項の制定を申し入れたとか、そもそも“ご一新”(旧幕府側にシンパシーを感じる半藤さんは“維新”とはおっしゃらないということで…(笑))の時の五箇条のご誓文に通底する平和の精神、さらには200年以上にも渡り対外戦争を行わなかった徳川幕府…などなど、コジツケに近いんじゃない!?とツッコミたくなるところもありますし、中国人や韓国人が聞いたら怒りそうなところも無きにしも非ずなんですが、日本人の平和への希求の発露の賜物だとおっしゃいます。

 そういうところも踏まえて、安倍政権の憲法改正への取組について、本質論を外したところで、小手先で辻褄を合わそうとする姑息なやり方について非難されています。

 まあ、この本でおっしゃられていることに100%賛成なワケではないのですが、なんとなく憲法改正論議が盛り上がってこないのは、この本で指摘されているような日本人の平和への想いみたいなものが影響を及ぼしているのかも知れません。