まかせる力/新将命・高田明

 

まかせる力 (SB新書)

まかせる力 (SB新書)

 

 

 ジャパンネットたかたの前社長高田さんが、自身が私淑されていたという「伝説の外資トップ」新さんと、事業継承や権限移譲について語られます。

 新さんによると、社長が次のトップを指名するというのは結構マズいことだということで、というのも自分がオイシイ思いを続けることができるような人を選んでしまいがちだということで、アメリカでは後継者の選抜において社長を除いたコミッティーみたいなものを設ける企業もあるようです。

 そんな中でジャパンネットたかたにおける事業継承は稀に見る理想的な形態だったようです。

 高田さん自身が息子さんを後継者に指名したということで、私物化的なイメージを持つ人もいるかと思いますが、高田さん自身は一切会社とは関わりを断って、JリーグのV・ファーレン長崎の社長をされていて、ジャパンネットたかたでは時折現社長に聞かれたことに応える程度だということで、会社に恋々としがちな日本のビジネスパーソンとは一線を画しています。

 ただスッパリと関わりを断つのが必ずしもいいことではないようで、ゴーイングコンサーンとしての会社のアイデンティティを保った上での継承が必要とされており、そういう意味でも、会社の理念を“生きた”ものにするというこれまでの努力があったからこそスムーズな継承につながったようです。

 “まかせる”ことの難しさは多くの人が実感されているとは思うのですが、自分の信念、相手への関心ということが重要なポイントとなるようです。