歴史の勉強法/山本博文

 

 

 日本近世史を専門とされていて、東大で教鞭を取られている方が教える「歴史の勉強法」です。

 「歴史の勉強法」といっても受験科目としての歴史ではなく、教養のひとつとしての歴史を身に付けるという意味での“勉強”だということなのですが、冒頭の部分を読んでいるとかなりアカデミックな志向が伺えて、ちょっとひるんでしまったりする人もいるのではないかと思ったのですが、読み進んでいくと意外と取っつき易くて、楽しんで読めました。

 歴史の研究者としては古文書を読み解いて分析できるだけのスキルが必要だということで、上級編ではそういったことも取り上げられているのですが、“教養”として歴史を身に付けるという意味では、歴史のある時点を、今我々が生きている社会と同じように“生きた”社会として捉えられるようになることが必要だとおっしゃられているのかな、と感じました。

 そういう意味で歴史のある事象だけを取り上げるのではなくて、制度面や経済面など、どのような環境でそういったことが起こったのかという背景を理解しておくことが重要なようです。

 特に中級編の「歴史の現場を歩く」という章が興味深くて、歴史上の事象が起こった場所や博物館などを訪れた際の観点が紹介されていて、ぜひ実践してみたいと思いました。

 割と高度な内容の本だとは思うのですが、あまりそうは感じさせない感じで、歴史には興味があるけれど、どこか取っつきにくいと思われている人に取って、いいヒントになる本なんじゃないでしょうか…