仁義なき幕末維新/菅原文太、半藤一利

 

 

 『昭和史』の半藤さんが俳優の菅原文太さんと“幕末”を語られます。

 副題に『われら賊軍の子孫』とあるのですが、以前も長岡藩士の子孫である半藤さんが書かれた反薩長史観に関する本をこのブログでも紹介したのですが、菅原さんは仙台藩士の子孫だということで、反薩長史観に基づく対談かと思いきや…

 主な内容としては、徳川慶喜西郷隆盛のわかりにくさということと、主に倒幕側で使い捨てにされた“人斬り”達の末路を紹介されます。

 いずれにせよ明治以降現代に至るまで、やたらと賛美される“明治維新”ですが、策謀や血塗られた歴史などキレイごとではすまないようです。

 この対談はそもそも菅原さんのラジオ番組に半藤さんが招かれたことをキッカケにしたモノなんだそうですが、時代劇での活躍もあった菅原さんは歴史への造詣も深か
ったようで、半藤さんと意気投合し、この本の後にも続編的な対談を予定されていたようですが、この対談直後に発生した東日本大震災後、菅原さんが復興支援で多忙となり、残念ながら2014年に亡くなられたことで実現することはなかったということです。

 その対談が実現していれば、もっと深遠なハナシが聞けたかと思うと残念でなりません。