世界一孤独な日本のオジサン/岡本純子

 

世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

 

 

 コミュニケーションの研究が専門である方が、コミュニケーションが不得手な日本のオジサンたちの「孤独」を語ります。

 冒頭で「孤独」は肥満よりも過度の飲酒よりも健康を蝕むリスクが高いということを指摘されています。

 欧米諸国では既にそういったリスクを認識して高齢者の孤独への対策を講じており、特に男性向けにコミュニティへの参加を促す方策が重視されているようです。

 ただ日本においてはそういう対策自体が遅れているのに加えて、私生活を犠牲にしてまで会社に奉公した挙句、定年退職した途端に社会とのつながりが切れてしまい、その後別のつながりを作ろうとはせずに引きこもりになってしまう高齢男性が多いということです。

 そうやって奥様の負担となる“濡れ落ち葉”の問題もよく指摘されていますが、奥様がいるうちはまだマシで、不幸にも奥様に先立たれてしまったり、離婚してしまったりしてホントの一人になってしまうと、かなり悲惨な状況になるようです。

 だから40~50代のうちに、いくらその時の仕事が忙しいといっても、退職後にどうやって社会とつながりを持つようにするかをデザインし、それに向けた準備をすることの重要性が極めて高いようなのですが、なかなか先を見据えてそういう行動をする人は少ないようです。

 そういう人こそこの本を読んで「孤独」の恐ろしさを知っておくべきなのかも知れません。