忖度社会ニッポン/片田珠美

 

忖度社会ニッポン (角川新書)

忖度社会ニッポン (角川新書)

 

 

 精神科医である著者が脳科学的な観点から“忖度”を語られます。

 “モリカケ”問題を契機に長らく中央官庁の高級官僚たちの“忖度”がネガティブに語られましたが、必ずしもそれってネガティブなものではなくて、そういうことができない人達をさして、“KY”と言った時期があるように、そういう行動って日本人にとってかなりフツーのことだと指摘されます。

 まあ、国益に関すること何で問題視された部分があるんですが、官僚たちは自分の“保身”のために一生懸命安倍ちゃんが喜ぶであろうとすることをやっただけで、多くの日本人は同様のことをやっているはずです。

 それは日本人が「世間」という共同体でウマく生きていくために身に付けた処世術というべきものであって、「世間」での“常識”を察することができないとその共同体からハジかれてしまう可能性が高いということで、どうしてもその“空気”を読む必要に迫られてしまうからだということです。

 ということで必ずしも割ることばかりではない“忖度”なんですが、グローバルスタンダードからすると異様で、日本におけるビジネスの不透明性の温床ともされ、そういうモノを排除しようとすれば、“忖度”しないことによって失うモノがどういうモノなのかを意識する必要があるということです。

 まあ個人的にはあんまり安倍ちゃんが好きではないので、安倍ちゃんが跋扈する状況は嬉しくないので、“忖度”をネガティブにとらえがちですが、冷静に考えればそういうのって時期によってどっちに振れるかってだけの話なんですよね!?(笑)