いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる/海老原嗣生

 

 

 雇用ジャーナリストの方が紹介する働き方改革方法案の“真相”です。

 とかく“残業代カット”だけが取り沙汰された働き方改革方法案ですが、この本を読んでいると、かなり皮相な捉えられ方しかされていないことがわかります。

 というのも元々この法案は、欧米的な職務給をベースにした雇用形態の導入を目指したもので、所得倍増計画の池田内閣の頃からの悲願だということなのです。

 この考え方が定着すると、働かない中高年層の問題と中高年層の人件費の高騰、定年の延長と言った多くの問題の処方箋となる可能性があり、その役割を終えたとも言える日本的な雇用慣行を根底から覆すポテンシャルがあるといいます。

 しかも欧米的な雇用慣行の弱点である、入り口のハードルの高さを、日本的な新卒一括採用を継続させることでクリアし、一定のところまでは従来の日本的な育成を行い、その後に欧米的な職務給的な雇用形態に移行することで、中高年層の人件費高騰を抑制を実現するという、いいとこどりを提唱されています。

 最初読み始めた時、与党の提灯持ちなのかとマユツバだったのですが、なかなか画期的な考えですね。

 それなのに、与党は与党で財界の目先の要求を野党は野党で言葉尻の揚げ足取りに終始してしまってホントの「ホワイトカラーエグゼンプション」の趣旨が取り入れられるのか、心もとないところです。