一触即発の世界/佐藤優

 

佐藤優の地政学リスク講座 一触即発の世界
 

 

 「知の怪人」佐藤優さんの内外情勢調査会での講演内容をベースにした本です。

 この本が企画された当時はトランプと金正恩バチバチの抗争をされていた時期なので、こういうスタンスになっていますが、この本の中でも、トランプと金正恩は似た者同士で、結局はアピール合戦だと指摘されているのは、のちの動向から見てさすがの慧眼だと唸らされます。

 この本で印象的なのは、佐藤さんご自身が外務省在籍時に深く携わって来られた北方領土の返還交渉に関する交渉経緯をかなり赤裸々に紹介されているところなんですが、一応外務省が公開した範囲に収まっているということでギリギリOKみたいです。

 それにしても、小泉政権の田中外相さえなければ、実はとっくの昔に北方領土問題は解決していたんだと思うと悔やんでもなりませんが、結局小泉政権もある意味でのポピュリズムだったんだな、と…その後の日露交渉で、そのレベルにまで戻すのに20年の努力を要したことを思うと、ポピュリズムのコストってバカにならないんだな、と痛感させられます。