サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)
- 作者: 三戸政和
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: 新書
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投資ファンドで中小企業の事業承継や事業再生を手掛けられている方が、主に大企業からのリタイアを間近にするサラリーマンをターゲットに中小企業の買収を勧めた内容の本です。
この本は元々三戸さんが同様の趣旨のことを講談社のネットメディア「現代ビジネス」にて発表されたところ大反響を呼び、急遽、より深い内容を盛り込んでこの本を出版されることになったということです。
ワタクシ自身、中小企業診断士を目指していた時に学習の中で、中小企業の後継者確保の難しさについてよく聞いたのですが、10年以上経った今でも状況は好転していないようですね。
後継者難といっても多くの会社の業績がそれほど悪いワケではなく、半数以上の会社が黒字であるにも関わらず廃業に追い込まれるようです。
サラリーマンの側からしても、昨今企業がもてはやされているものの、三戸さんによると、ゼロからの起業を成功させることができるのは限られた人だけだということで、あの孫さんでさえも厳密にいうとゼロから会社を育て上げた経験は少なく、ご自身も不得手だと考えていたフシがあって、企業買収を駆使して企業規模を拡大させていったということを指摘されています。
そういうサラリーマン側は、退職後のリスクを軽減した上での収入源確保という面と、企業側としては、大企業で長年勤務経験がある後継者の確保というニーズがマッチして、Win-Winの関係ができるということです。
さらにはそういうサラリーマンだと知らず知らずのうちに“マネジメント”を経験しており、ましてや管理職経験が長い人は経営者的な資質も蓄積されているということで、買収する側される側双方に大きなメリットが見込まれます。
モチロン“余所者”が馴染めない可能性と言ったリスクは少なからずあるのですが、ゼロから起業するリスクと比べれば…ということのようです。
それこそ高齢者の活躍の場の確保や、中小企業の廃業率の低減など、かなり社会的な意義も大きな提言だと言える内容で、経産省なんかがマッチングの機会を整備するなど、積極的に機運を盛り上げて行ってもらいたいところです。
ということで三戸さんには是非、具体的なご経験を踏まえた、実践編というかケーススタディみたいな続編を出版して欲しいですね!