お金の流れで探る現代権力史/大村大次郎

 

 

 以前、元国税調査官の大村さんがおカネを手掛りに日本史を紐解いた『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が「古代~現代史」にガサ入れ (中経の文庫)』を紹介しましたが、今回は世界の近現代史をおカネを手掛かりに紐解いてみようという趣旨の本です。

 日本史の方はあまりおカネの観点が入り込んでいないところに、そういう切り口で歴史を見てみる面白さがあったのですが、近現代史だと結構経済と政治が不可分の要素となっており、歴史の教育においてもある程度経済の状況が加味されているので、期待したほどに新たな発見はなかったのですが、寧ろ現代史というか、ほぼ最近の出来事の裏話的な話に興味をそそるところが多くて、実はタックスヘイブンはイギリスが裏で手を引いていたとか、中国は、国全体に未だ飢餓感があるから、まだまだ発展するとか、そういうところに大村さんの独自の観点が活かされていて興味深かったな、と感じさせるところが多くありました。