明治維新で変わらなかった日本の核心/猪瀬直樹、磯田道史

 

 

 元東京都知事の猪瀬氏が、NHKの歴史番組でよくニヤニヤしながらコメントをする不気味な歴史学者の磯田さんと“日本通史”を語ります。

 タイトルに「明治維新」などとありますが、別にそこに力点があるワケでもなくて、言ってみれば“日本社会経済通史”とも言うべき内容となっています。

 磯田さんは歴史を“通史”として学ぶことの重要性を再三語られていますが、学校でブツ切りの歴史を学んでも漏れ落ちてしまうことがおおく、誤解の元のなることが多いだけでなく、歴史を学ぶことがオモシロくなくなることの元凶でもあるようです。

 “日本社会経済通史”というのはワタクシが勝手に言っているのですが、この本では平安時代から昭和に至るまでの世相を追っており、その中にはかなり古くから日本では経済的な観念が重視されていたことが示されており、実は歴史の転換点には、そういう経済的な側面が大きく作用したことを示唆されています。

 で、この本で猪瀬さんは何をしているのかと言うと、時々聞かれてもいないのに都庁時代のことをあまり関連性も感じられないのに語りだしたり、主題のアイデア出しをしたのかもしれませんが、アンタ必要あるの!?って感じです。

 編集自体にはツッコミどころが満載ですが、歴史にダイナミズムを肌で感じることができる高レベルの本です…だからこそ、もうちょっと、タイトルや猪瀬氏の関与を含め、本の造りを何とかしてもらえなかったんですかね…もったいない!?