黙ってられるか/川淵三郎

 

黙ってられるか (新潮新書)

黙ってられるか (新潮新書)

 

 

 Jリーグの初代チェアマンで現代の日本サッカーの隆盛の礎を築き、Bリーグの立ち上げにも尽力した川淵さんの放言録です。

 川淵さん自身、ご本人によると“黙ってられない”タチであるらしく、それが随分と物議をかもしてきた経緯もあるようなのですが、本人曰く、仁義に悖ることは“黙っている”ということで、そういう分別をした上での“放言”なんだそうです。(ということは、「オシムって言っちゃった…」は分かってて言ったのか!?)

 まあ、過激なタイトルのワリには、今まで川淵さんがどこかでおっしゃってきたことが多いのは多いのですが、ちょっとドキッとさせられるのは、おそらくリアルタイムで書かれたであろう、当時のサッカー日本代表監督であったハリルホジッチへの戦術的な批判のコメントだったり、日大アメフト部の悪質タックル問題への意見だったり、立場を考えると随分大胆なことをおっしゃっているなぁ、と思えます。(まあ、出版までには時間が経過しているので、結果としてそれほどのインパクトはなかったようですが…)

 また、フランスW杯予選時の加茂監督の更迭の舞台裏などは、そこまでセキララに語っていいのか!?という回顧録もあり、読み進めていくとなかなかカゲキです。(笑)

 トドメには、Jリーグ創成期に“天敵”と言われた読売新聞のナベツネこと渡邉氏との対談もアリ、なかなかの編集ぶりです。

 個人的には強権的で、あまり好きではなかった川淵さんですが、ここまでのスポーツ界全体への貢献を見ると、やっぱり感謝しないとなぁ、と改めて感じた次第でした。