面倒くさい女たち/河合薫

 

面倒くさい女たち (中公新書ラクレ)
 

 

 『他人をバカにしたがる男たち 日経プレミアシリーズ』で“ジジイ”のまき散らす弊害を紹介した河合さんが、今回は“ババア”のまき散らす弊害をレポートされます。

 と言いたいところなのですが、確かに目次を見ていると、そういう“ババア”の行状を紹介されているように見えるのですが、そういう主題で書き始めてはいるものの、筆が進んで行くにしたがって、どの章でも「ジジイが牛耳る縄張りで生きるババアの生きにくさ」みたいなところに帰結して行っているようで、ジジイのまき散らす弊害の根深さを窺わせます。

 そんな中で、そういった弊害を乗り越えた女性たちが何人か紹介されているのですが、その人たちがその過程で受けた理不尽さを思うと、道半ばで断念してきた有能な女性たちの努力がムダになったことが残念に思えてなりません。

 多少カンバンに偽りはあるのですが、ミョーにナットクさせられる爽快な読後感でした。