日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか (朝日新書)
- 作者: 大澤真幸
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/10/13
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (6件) を見る
社会学の大家である大澤先生が歴史について語られるというのが意外なのですが、「知の怪人」佐藤優さんが推薦図書として取り上げられていたので、手に取らないワケにはいかないでしょ!?
日本では“革命”が起こらない、ということが歴史学者の間でも議論されるのですが、なぜ日本では“革命”が起こらないのかということについて、大澤さん自身が日本での唯一の革命とする承久の乱の戦後処理を手掛かりに、なぜ日本では革命が起こらないのかを検証されます。
その検証において、中国や西欧との比較をするワケなのですが、中国では“天”という概念、西欧ではキリストの事蹟といった、ある意味超越的な事象があって、その下で革命がおこるのですが、日本では、言ってみれば天皇制が、中国でいう“天”のような概
念を担っているということで、その存立を脅かそうとするモノがいなかったからだということです。
大澤さんが唯一の革命の成功者だとする北条泰時にしても朝廷の権威を尊重した上で、そこから逸脱した後鳥羽上皇などを放逐したという位置づけで、言ってみれば“天”の秩序を守るためのことだったという理解がされているようです。
ということで、日本の歴史を貫く原理のようなモノが語られていて、歴史を理解する上での“軸”みたいなものを提供してくれる重要な概念を見せてもらったような気がします。