ロシアW杯総論/木村浩嗣

 

ロシアW杯総論

ロシアW杯総論

 

 

 スペインでサッカーの指導者をすると共にサッカー関連の著書、訳書も多い木村さんが、ロシアW杯のすべての試合をテレビ観戦して、そのトレンドを探ろうとした内容の本です。

 スペインが優勝した南アW杯やドイツがスペイン的なパスサッカーの要素を取り入れて優勝したブラジルW杯など、ここのところ攻撃的なポゼッションサッカーが席巻していましたが、木村さんは今回のロシアW杯における3つの必勝条件として、

 1.空中戦
 2.GK
 3.カウンター

を挙げられています。

 優勝したフランスが3つの要素をバランスよく兼ね備えていたワケですが、ベスト4以上のクロアチア、ベルギー、イングランドもいくつかの要素を兼ね備えていたようです。

 優勝したフランスは守備的な戦術が功を奏したのですが、カウンターや空中戦が席巻したからと言って必ずしも守備ガチガチだというワケではなく、決勝トーナメント1回戦で日本を下したベルギーのようにそういった要素を兼ね備えながら、テクニカルな側面も持つといったハイブリッドなチームも多く見られました。

 ただ、過去2大会と比べて、ロシアやスウェーデンなどクラシカルなロングボールを多用したチームが躍進するケースが多く、ドイツ大会以前の傾向に回帰したという側面も色濃くあったようです。

 とはいうものの割とスリリングな展開の試合が多く、個人的には楽しめたのですが、やっぱりそこには、出場国間の戦力差が縮まってきていることもあるようです。

 日本については、これまでのW杯での戦いぶりと比べて一皮剥けたと評価されていて、次の大会ではさらなる高みに上って行けるのかも…