外国語上達法/千野栄一

 

外国語上達法 (岩波新書 黄版 329)

外国語上達法 (岩波新書 黄版 329)

 

 

 30年以上前に東京外国語大学のセンセイが書かれた語学習得の極意に関する本です。

 ワタクシ自身、語学習得に関する本を書いたこともあって、語学習得のメソッドについてはかなり関心が高いのですが、こういう“古典”と言える本には、そういったエッセンスが詰まっていることが多く、狙い目だったりします。

 結論から言うとこの本ではオーソドックス過ぎるほどオーソドックスな方法論が詰め込まれており、今だったら、当たり前のことばっかり書いた本が売れるワケがないということで、企画段階でボツになってしまいそうですが、それくらいオーソドックスな内容こそがキモなのかも知れません。

 特に言語を習得する目的を明確にした上で取組むということの重要性を冒頭で紹介されているところが印象的で、にも関わらず未だに多くの人がそのプロセスをロクに踏まずに手を付けてしまって、結局習得せずに終わってしまうことが多いということを見るにつけ、価値の高いアドバイスなんだなぁということを痛感した次第でした。

 最近ではあまりにも語学習得に関する本が多過ぎて、どこか目立たせないといけないということで、奇を衒った本ばかりが目につきがちですが、こういう“古典”でキモのキモを振り返ることが、実は近道なのかも知れません。