がんとの賢い闘い方/大場大

 

がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判 (新潮新書)

がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判 (新潮新書)

 

 

 昨日『患者よ、がんと闘うな (文春文庫)』の近藤センセイの本を紹介しまし
たが、この本は『「近藤誠理論」徹底批判』とあるように近藤センセイの説に真っ向から反論したモノです。

 ただこの本の中で大場先生は近藤センセイについて「例外的なことをあたかもこれがすべてであるかのように語っている」といった主旨のことをおっしゃられて、近藤センセイが執拗に逸見政孝さんの死のケースを繰り返し紹介することなどを批判されていますが、ご自身の近藤センセイへの批判もそういった弊に陥っているように見受けられます。

 また近藤センセイが放射線科医であり、がんの手術に関わっていないことや臨床医としての経験が不足していることなどを挙げ、外科医であり、がん患者への臨床経験も豊富なご自身が「シロートはダマッとけ!?」的なホンネも透けて見えて、医師の歪んだセクショナリズムを感じさせます。

 個人的には「近藤理論」の“放置”にどうしてもナットクがいかなくて、そういった部分への冷静な批判があればよかったと思うのですが、どうしても感情的な部分が目立ってしまって、素直におっしゃられていることが受け入れられません。

 医者も科学者であるはずなのに、近藤センセイにしろ大場先生にしろ、あまり科学者っぽい論理性が感じられません。

 それよりも第二章での「標準治療」について紹介されている内容の方は、丁寧でわかりやすく、がん患者にとって非常に役立つモノだと思えます。

 まあ、売られたケンカを買ったというところで仕方のない部分はあるんでしょうけど、第二章のトーンで丹念に「近藤理論」を論破していった方が効果があったんでは!?