メモの魔力/前田裕二

 

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

 

 

 仮想ライブ空間「SHOWROOM」を始めたことでも知られ、最近メディアで取り上げられることの多い若手IT経営者の前田さんは、周囲の人からは“メモ魔”として知られているということなのですが、“メモ”と言っても単に備忘録的に「記録」しておくに留まらず、「知的生産」のためのツールとして、メモを取った「ファクト」について「抽象化」を行い、さらに何らかのカタチで自分なりに「転用」できないかというところまで考えるための手掛かりにされているということです。

 また前田さん自身が就職活動をされた際に、ご謙遜もあるんでしょうが、周囲の自分より優れた人から如何にして抜きんでるようにしようかと考えた結果、自分について徹底的に「質問」を繰り返すことで、自分自身を“見える化”し、客観的に自身を語れるようにしたことが成功要因だとおっしゃっておられ、そういう経験が“メモ魔”としての現在につながっているところもあるようです。(ちなみにその際の自己への“質問”が巻末に収録されていて、読者自身が自分を振り返るころができるようになっています。)

 自分を振り返るということは、自分の弱い部分に向き合う場面もあり結構ツラい部分も多くなってしまうことから、大多数の人はそういったことをしないんでしょうけど、そういったことを原点として、目の前の事象が自分に取ってどういう意味があるのかということを常に考えるクセをつけておくということは、相当なアドバンテージになるんだな、ということを改めて認識させてくれる本です。