知的生産術/出口治明

 

知的生産術

知的生産術

 

 

 初期の著書で出口さんはビジネス系の自己啓発本に否定的なご意見を表明されていた記憶がありますが、経験も見識も豊富な出口さんがこう言った本を出してくださるのはありがたいところです。

 ここ数年デービッド・アトキンソンさんの『新・観光立国論』のヒットなどもあって、OECD諸国の中での日本の労働生産性の低さがクローズアップされるようになりましたが、出口さんはその原因についてこれまでの著書でも再三おっしゃられていますが、欧米キャッチアップ型の「工場モデル」で高度経済成長を実現してきましたが、最早そのモデルでは現代の要求に応えられなくなっているからだということで、「工場モデル」の下、“考えず”にひたすら目の前の仕事をこなすことで求められてきた中で成果を上げてきた人たちが“思考”を求められて戸惑っているところがあるようです。

 そんな中でこの本が提示するような“思考”のための方策が必要なのですが、これまで「風呂・メシ・寝る」で寝る間も惜しんで働いていた生活から「人・本・旅」を重視する生活にシフトして、とりあえずはインプットを集中的に行う必要があるようです。

 その上で「考える」チカラを身に付けて行かなくてはならないのですが、「工場モデル」のような長時間労働は「考える」ためにはむしろマイナスに働くため、限られた時間で如何に成果を出すかということを考えることで磨かれていくようです。

 なかなかハードルは高いですが、徐々にそういうことをこなしていくしかなさそうなのと、何とか職場環境がソッチの方へ行ってくれますように…