食欲の制御機構と肥満に伴って生じる病態の分子機構を研究されている方が「美味しいものが肥満を誘導する「仕組み」について明らかに」された本です。
巻頭で『生物と無生物のあいだ』で知られる生物学者の福岡伸一さんが、
「現代人がなぜ太るのかを徹底的に解説した一冊この本をよく読めば
「太る」から解放されること間違いなし。」
という推薦のコメントを寄せられているのですが、それが帯ではなく巻頭に掲載されていくことに驚きましたが、それだけに、かなり専門的な用語も少なからず使われているのですが、非常にわかりやすく食欲と肥満の関連性を説明されています。
実験で使われるラットは、その周囲にエサを置いておいても必要以上に食べることは無く、肥満になることはなかったということと、人間の赤ちゃんも3~5歳位までは同
様で、それ以降嗜好が顕著になってくるにしたがって振れ幅が出てくるようです。
自然のままだと過不足なく栄養素を摂取するのに、なぜ人間は過剰な栄養素を摂るようになるのかと言うと、甘いモノや脂分など、人間が摂取により“快”を感じる「報酬系」として作用する栄養素を摂取すると、もっと欲しいという欲求が生じ、自然に備わっていたリミッタが機能しなくなるということです。
新谷さんによると、肥満は意志の弱さではなく、現代の食の誘惑の多さを考えると人間の脳の機能上、避けがたいところがあるようです。
とは言いながら肥満は多くの病気の原因となりやすいことから、避けるための工夫が必要なのですが、これについては運動の習慣をつけようとかフツーで、なかなか瘦せようとすることはムズカシイ時代になっているようです。