サッカーの国際政治学/小倉純二

 

サッカーの国際政治学 (講談社現代新書)

サッカーの国際政治学 (講談社現代新書)

 

 

 昨日に引き続き元FIFA理事の小倉さんの本なのですが、昨日の本が平成の終わりを受けて2019年に書かれたのに対して、この本はFIFAの理事在任中の2004年に書かれた本で、内容も日本サッカー自体のことよりもFIFAでの活動のことを多く取り上げられています。

 特に日韓W杯共催に至る過程を紹介されますが、当初日本単独開催が有力だったのが、韓国の粘り腰で妥協して共催を飲まざるを得なかった政治的な力学に苦渋を舐める想いを吐露されていますが、1997年のフランスW杯予選で日本が崖っぷちにあった韓国での予選で韓国のサポーターが“Let's Go to France Together“の横断幕を掲げているのを見て、共催になってよかったんだと胸を熱くされたことを告白されています。

 ただその後しばらくの間は理想的な日韓関係にありましたが、結局つかの間だったのは残念ですが…

 昨日の本でもFIFAが巨大な個人商店でお手盛りの満載だと指揮されていましたが、この頃はそういう色彩が現在よりもずっと強い中、飄々と泳ぎ切った小倉さんのしなやかさが印象的です。