なぜローカル経済から日本はよみがえるのか/冨山和彦

 

 

 この本、出版は2014年で非正規雇用が問題になってた頃なのですが、見事に昨今の人手不足を予測しており、今後そういうトレンドが先進諸国に伝播して行くんだそうです。

 従来日本では産業政策を大企業と中小企業に分けて、それぞれの施策を行ってきたのですが、最早それでは政策効果を充分に発揮することは難しいようで、G:グローバル、とL:ローカルに分けて施策をした方が効果が上がるのではないかと指摘されています。

 というのも、長い間、出口治明さんが著書で言われる「工場モデル」的な少品種大量生産で効率を追い求めてきた関係で、大企業がエラくて、中小企業が従属するといったイメージを持ちがちなんですが、今後は世界中のライバルを相手に効率の追求や確実な成果の獲得と言ったことを志向するGと、多少効率は劣っても事業の継続性や雇用の確保といったことが求められるLと施策を分けるべきだということです。

 あとがきでアベノミクスの効果について冨山さんが経済官僚と会話している内容が紹介されていますが、アベノミクスの産業界への施策って、結局は大企業しか見ていないんで、その効果は国民の3割くらいにしかいきわたらないのが、そもそもの制度設計なんじゃないかということで、そういった発想の転換がないから限られた効果しか上げられなかったんじゃないかということです。